DATE 2008.10.27 NO .



「――はい、おっさん」

「リタっち……これ、何?」

 目の前に出された皿の上には、何かがちょこんとのっている。
 匂いと色から想像はつくものの、聞かずにはいられない。

 これをくれる意図は何なの、と。

「失敗作だからおっさんにあげる」

「おっさんにくれるの? 嬉しいね〜…――じゃなくて! え、失敗作!?」

「そ、失敗作」

 …そうきたか。
 それにしちゃぁ、綺麗な気はするけど。

「あと、もう一回聞くけど…これ、何?」

「チョコレートケーキ」

「…だよねぇ……」

「だから捨てといてよ。今忙しいの」

 そう言って魔導少女は皿を押しつけると、そのまま振り返ることもなく行ってしまった。

 手元には、小さなチョコレートケーキ。
 こんなの、「処分」なんて他にいくらでもやりようがあるだろうに。



 一口、食べてみた。

「――苦い」



 ……えらく「甘い」ビターチョコレートだ。







≪あとがき≫
 おっさん自身は甘いものが苦手、なんですよね? どっかで作るのはうまいって見た気もするな……
 「レイリタです!」とか、言ってみたいんだぜ……





top